第2回KLA(黒陵教養講座)を実施しました!

 2022年10月29日(土)、今年度第2回となるKLA(Kokuryo Liberal Arts/黒陵教養講座)を実施し、1・2年生の希望者8名で盛岡市へ向かいました。

 最初の訪問先は岩手県立美術館です。まず職員の方から美術館の概要についてお話いただきました。今年で開館21年目を迎える県立美術館の建設コンセプトは「素(そ)」。簡「素」でありながら、床には南アフリカ産の花崗岩、柱にはスギ材等、随所に「素」材の工夫が見られ、美術館の主役である作品の鑑賞の邪魔とならないような作りとなっていることがわかりました。

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美術館の概要説明
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建築上の様々な工夫についてご説明いただきました

 次に、鑑賞サポートの形で、岩手県ゆかりの芸術家である萬鐵五郎や松本竣介、船越保武の作品を見ながら職員の方から鑑賞の視点についてアドバイスいただきました。

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グループに分かれて作品鑑賞の視点をアドバイス頂きました

 午後の訪問先は、岩手県工業技術センターの敷地内にある株式会社アイカムス・ラボです。代表取締役の片野圭二さんから、アルプス電気盛岡工場閉鎖から技術者たちが立ち上がって企業を設立するまでの経緯や、様々な特許を取得しながら新商品の開発に取り組む様子についてお話いただきました。

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敷地内には抗原検査キットの生産にも力を入れている企業もあるとのことでした

【参加生徒の感想】
 美術館で松本竣介の「序説」を見て、アートの楽しみ方を学べました。初めて見たときの「ただ暗い」という感想が、作者の歴史・背景などの解説を聞いて、戦争によって空襲があり、暗い表現になっていることに気が付き、もっと知りたいと感じました。「あそこが作者の子どもを表していて、題名の序説に関係している」と友達と考察し合うことができるのも美術館の一つの楽しみ方なのだと思いました。
 アイカムス・ラボですごいと感じたことは二つありました。一つ目は幅広い分野で活躍していることです。マイクロアクチュエーターを利用した麻酔注射器やピペットなどの医療機器の開発や、細胞代用技術、宇宙関係の技術開発に至るまで多岐にわたっていました。二つ目は世界に進出していることです。MEDICAで海外顧客に製品を紹介するなど、マーケティングも行っており、世界で注目されている理由がわかりました。
 なりたい職業に悩んでおり、今回色々な知識を取り入れるために参加しました。ただ理系といっても沢山の分野があって、自分のやりたいことって何だろうと考えたとき、医療器具の開発も面白そうだと思いました。(医療現場の)遠くからでも医療を支えたいという自分の考えにあっており、視野にいれて考えたいと思いました。(1年生参加生徒)

 今回初めて美術館を訪問した。ポスター、テレビの広告でよく見かけるロゴには、色・形・デザインなどに意味が込められていた。内装は入り口を狭くすることで中が広く感じられる作りで、入り口から中へ入ったときの解放感がすごかった。設計も、光の具合ややわらかさを出すために細部までこだわっていた。
 アイカムス・ラボは、世界に発信するため新たな視点でビジネスを展開していることがわかった。自分が将来何をしたいか、作りたいかが進路選択には重要だと思った。ドイツに高校生が行くプロジェクトも紹介いただき、社会へ飛び出して色々なことに触れ、刺激を受けることで成長できるのだと感じた。これは「きたかみ世界塾」にもつながり、自分の問いや将来につながることを追求していくことが大事だと思った。
 私は将来医療関係の仕事に就きたいと思っている。アイカムス・ラボはIPS細胞や医療技術の分野で、レベルの高いことを大学と連携して行っていて、私も進路を実現し何か事業をしてみたいと思った。盛岡の高校生はドイツへ行って医療機器の販売を行うなどレベルの高いことをしていることに刺激を受け、大学受験に向けて勉強しなくてはという気持ちも高まった。様々な視点で学び、人に役立つ仕事ができるようになりたい。(1年生参加生徒)

 今回美術館へ行き、シンボルマークの意味、美術館自体のコンセプトが「素」だということや細かい建物の工夫、絵の鑑賞の仕方を学ぶことができました。また美術館の役割というのも考えたことがなかったので、その中の修復活動に興味をもちました。私が特に心を奪われたのは本田健さんの「山あるきー十一月」と宇田義久さんの「水位Ⅰ」です。美しい青のグラデーションと、絵とは思えないほど繊細な絵にとても感動しました。
 アイカムス・ラボでは、ピペットを電動化したり、コードレスの電動ディスペンサーに驚きました。またそれらを支える細かい部品の開発にも驚きました。場合によってプラスチック製部品の方が長持ちすることも知りました。また、培養液自動交換システムがあることにより、細胞の培養も可能になるのだと知りました。
 一度自分で物事を考えることや、興味をもって探究することが重要だと感じました。私は将来医療関係の仕事をしたいと思っていて、アイカムス・ラボを見学し、患者さんと直接関わるだけでなく、技術の力を使って間接的に人の役に立つ仕事にも興味をもち、前向きに考えていこうと思いました。(1年生参加生徒)

 
 生徒たちは第二回KLA(Kokuryo Liberal Arts/黒陵教養講座)への参加を通し、岩手の文化や芸術、産業について自然科学や人文科学の視点から多面的多角的に考察する機会を得たものと思います。ぜひ今回の学びを総合的な探究の時間や各教科の学習の生かしてほしいと思います。